青山敏弘「川辺駿をサポートしたい」若き自分を支えた森崎和幸のように。
- 2020/02/05
- 19:55
この時が来た。
今シーズン、サンフレッチェ広島はどんなサッカーを繰り広げたいのか――。
その狙いは、ピッチに立った選手たちの顔ぶれに、くっきりと表れていた。
2月1日に行なわれたセレッソ大阪との練習試合の布陣は、昨季と変わらぬ3-4-2-1。
両ウイングバックにサイドバック系の選手を起用するのではなく、柏好文とハイネルというウインガーを配置する攻撃的な志向も昨季と変わらない。
だが、ボランチと前線の顔ぶれに変化があった。
名古屋グランパスに移籍した稲垣祥に代わって青山敏弘とボランチのコンビを組んだのは、昨季は2シャドーの一角を務め、攻撃力が魅力の川辺駿。
さらに、1トップにレアンドロ・ペレイラ、2シャドーに森島司とドウグラス・ヴィエイラが入った。
外国人ストライカーの共存は、試合途中のオプションとしては昨季も見られたが、スタートからの採用はこれまで一度もなかったものだ。
城福監督「点をしっかり取りたい」
リスキーとも言えるこれらのチョイスには、どんな狙いが込められているのか。
「攻撃的な布陣を組んで、点をしっかり取りたい。ボールを繋いで押し込んでいくスタイルをさらにブラッシュアップして崩したいし、そこでシュートまでいけなくて奪われても、すぐに奪い返してショートカウンターで仕留めたいと思っている」
そう明かすのは、就任3年目を迎えた城福浩監督である。
守備からチーム作りを始め、2位でフィニッシュした1年目、主戦システムを3-4-2-1に変更し、世代交代を敢行したうえでボールを握るスタイル構築に着手した2年目を経て、3年目をひとつの集大成として考えているようだ。
C大阪との練習試合でも、結果的にゴールレスドローに終わったが、ハイプレスを仕掛けてボールを奪いに行き、とりわけ後半は決定的なチャンスを何度も作り出していた。
川辺駿がシャドーからボランチに。
こうした攻撃的な布陣を敷くうえでキーマンとなりそうなのが、川辺駿だ。
攻撃面における能力の高さは、シャドーを務めた昨季に改めて証明済み。だが、C大阪戦で見せたのは、それとは別の顔だった。
自陣深くまで戻って身体を張り、相手ゴール前まで顔を出すなど、攻守両面で安定したプレーを披露していた。
いわゆる“ボックス・トゥ・ボックス”の選手へと変貌を遂げつつある川辺駿が言う。
「(移籍した)稲垣祥くんは守備や戦う部分で貢献していた選手。稲垣祥くんがいなくなったから、やられることが多くなったと言われるのは嫌ですから。僕が守備で稲垣祥くんに見劣りしないようなプレーができれば、より攻撃でも生きてくると思うので、そういう意識で今日はやれたと思います」
攻撃で違いを生み出す自信はある。だが、ボランチを務める今季はそれだけでなく、前任者のようにボール奪還においてもチームに貢献したいというわけだ。
若き日の青山敏弘と森崎和幸のように。
こうした川辺駿のトライを頼もしく感じている選手がいた。
コンビを組む青山敏弘である。
「川辺駿は前にスペースがあれば、より生きる選手。川辺駿が攻撃に絡んでいけるように、しっかりサポートしていきたいと思っています」
イメージするのは、かつての自分と森崎和幸のような関係性だ。
ボランチがなんたるかを知り尽くす先輩とコンビを組んだ若き日の青山敏弘は、盤石のサポートを得て自由にプレーさせてもらってきた。
今度は青山敏弘が森崎和幸の役回りを務める番だ。
「そんな関係が築けたらいいと思っているんです」
昨年のこの時期はアジアカップで負ったケガのリハビリに務めていた青山敏弘だが、今季はコンディションが良好のようだ。
「去年と違ってこの時期に身体をしっかり作れているから、調子はすごく良いですね。以前のように走り回ってチームを引っ張っていくことはできないけれど、チームの一員としてうまく機能できれば、と思っています」
城福監督がペレイラにぶつけた要求。
ボールを握って押し込むのがひとつのテーマなら、もうひとつのポイントが「シュートまでいけなくて奪われても、すぐに奪い返して」と城福監督も語ったように、ボールの即時奪還である。こちらのキーマンは1トップを張るレアンドロ・ペレイラだ。
C大阪との練習試合では懸命にプレッシングを繰り出し、守備のスイッチを入れる努力をしていた。昨季はどちらかと言えば「自分の仕事は点を取ること」と言わんばかりに前線にどっしりと構えるタイプだったにもかかわらず。
「それについては、はっきりとぶつけました」と城福監督は明かす。
「あなたがこれをしてくれなければ、我々らしいサッカーができない。逆に、これをしてくれれば、我々はボールを動かせるようになるし、あなたにもこれだけのチャンスが生まれるよと。彼が納得するようにアプローチしているし、彼もアジャストするための努力をしてくれている」
バランス、メリハリを大事にして。
もちろん、守備への貢献を求めすぎれば、最大の武器である得点力が損なわれてしまいかねない。そのバランスが大事だと川辺駿は言う。
「守備に良さがある選手ではない。攻撃でどれだけパワーを使わせるかが重要なので、そこはサポートしながら。(ボールを)奪ったあとの(縦パスの)収まりはいいですし、強さもアイデアもあるし、クロスにヘディングで合わせる技術も高い。行くところと行かないところの、メリハリを付けて、彼ら(ペレイラとヴィエイラ)を生かしていきたいですね」
東京五輪代表候補のGK大迫敬介と昨年日本代表に選出されたDF荒木隼人を中心にした守備陣の安定感が健在で、中盤には東京五輪代表候補に名を連ねる松本泰志や東俊希も控えている。
さらに前線には、仕掛けが武器のエゼキエウとスピードを備えた万能ストライカーの永井龍が新たに加わった。
守備の整備、世代交代、ポゼッション力の向上……と、たとえるなら、この2年間は土耕し、種を蒔き、水を与え、芽が出る期間だった。
3年目の城福サンフレッチェが、いよいよ“収穫”の時期を迎える。
今年こそは!
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今シーズン、サンフレッチェ広島はどんなサッカーを繰り広げたいのか――。
その狙いは、ピッチに立った選手たちの顔ぶれに、くっきりと表れていた。
2月1日に行なわれたセレッソ大阪との練習試合の布陣は、昨季と変わらぬ3-4-2-1。
両ウイングバックにサイドバック系の選手を起用するのではなく、柏好文とハイネルというウインガーを配置する攻撃的な志向も昨季と変わらない。
だが、ボランチと前線の顔ぶれに変化があった。
名古屋グランパスに移籍した稲垣祥に代わって青山敏弘とボランチのコンビを組んだのは、昨季は2シャドーの一角を務め、攻撃力が魅力の川辺駿。
さらに、1トップにレアンドロ・ペレイラ、2シャドーに森島司とドウグラス・ヴィエイラが入った。
外国人ストライカーの共存は、試合途中のオプションとしては昨季も見られたが、スタートからの採用はこれまで一度もなかったものだ。
城福監督「点をしっかり取りたい」
リスキーとも言えるこれらのチョイスには、どんな狙いが込められているのか。
「攻撃的な布陣を組んで、点をしっかり取りたい。ボールを繋いで押し込んでいくスタイルをさらにブラッシュアップして崩したいし、そこでシュートまでいけなくて奪われても、すぐに奪い返してショートカウンターで仕留めたいと思っている」
そう明かすのは、就任3年目を迎えた城福浩監督である。
守備からチーム作りを始め、2位でフィニッシュした1年目、主戦システムを3-4-2-1に変更し、世代交代を敢行したうえでボールを握るスタイル構築に着手した2年目を経て、3年目をひとつの集大成として考えているようだ。
C大阪との練習試合でも、結果的にゴールレスドローに終わったが、ハイプレスを仕掛けてボールを奪いに行き、とりわけ後半は決定的なチャンスを何度も作り出していた。
川辺駿がシャドーからボランチに。
こうした攻撃的な布陣を敷くうえでキーマンとなりそうなのが、川辺駿だ。
攻撃面における能力の高さは、シャドーを務めた昨季に改めて証明済み。だが、C大阪戦で見せたのは、それとは別の顔だった。
自陣深くまで戻って身体を張り、相手ゴール前まで顔を出すなど、攻守両面で安定したプレーを披露していた。
いわゆる“ボックス・トゥ・ボックス”の選手へと変貌を遂げつつある川辺駿が言う。
「(移籍した)稲垣祥くんは守備や戦う部分で貢献していた選手。稲垣祥くんがいなくなったから、やられることが多くなったと言われるのは嫌ですから。僕が守備で稲垣祥くんに見劣りしないようなプレーができれば、より攻撃でも生きてくると思うので、そういう意識で今日はやれたと思います」
攻撃で違いを生み出す自信はある。だが、ボランチを務める今季はそれだけでなく、前任者のようにボール奪還においてもチームに貢献したいというわけだ。
若き日の青山敏弘と森崎和幸のように。
こうした川辺駿のトライを頼もしく感じている選手がいた。
コンビを組む青山敏弘である。
「川辺駿は前にスペースがあれば、より生きる選手。川辺駿が攻撃に絡んでいけるように、しっかりサポートしていきたいと思っています」
イメージするのは、かつての自分と森崎和幸のような関係性だ。
ボランチがなんたるかを知り尽くす先輩とコンビを組んだ若き日の青山敏弘は、盤石のサポートを得て自由にプレーさせてもらってきた。
今度は青山敏弘が森崎和幸の役回りを務める番だ。
「そんな関係が築けたらいいと思っているんです」
昨年のこの時期はアジアカップで負ったケガのリハビリに務めていた青山敏弘だが、今季はコンディションが良好のようだ。
「去年と違ってこの時期に身体をしっかり作れているから、調子はすごく良いですね。以前のように走り回ってチームを引っ張っていくことはできないけれど、チームの一員としてうまく機能できれば、と思っています」
城福監督がペレイラにぶつけた要求。
ボールを握って押し込むのがひとつのテーマなら、もうひとつのポイントが「シュートまでいけなくて奪われても、すぐに奪い返して」と城福監督も語ったように、ボールの即時奪還である。こちらのキーマンは1トップを張るレアンドロ・ペレイラだ。
C大阪との練習試合では懸命にプレッシングを繰り出し、守備のスイッチを入れる努力をしていた。昨季はどちらかと言えば「自分の仕事は点を取ること」と言わんばかりに前線にどっしりと構えるタイプだったにもかかわらず。
「それについては、はっきりとぶつけました」と城福監督は明かす。
「あなたがこれをしてくれなければ、我々らしいサッカーができない。逆に、これをしてくれれば、我々はボールを動かせるようになるし、あなたにもこれだけのチャンスが生まれるよと。彼が納得するようにアプローチしているし、彼もアジャストするための努力をしてくれている」
バランス、メリハリを大事にして。
もちろん、守備への貢献を求めすぎれば、最大の武器である得点力が損なわれてしまいかねない。そのバランスが大事だと川辺駿は言う。
「守備に良さがある選手ではない。攻撃でどれだけパワーを使わせるかが重要なので、そこはサポートしながら。(ボールを)奪ったあとの(縦パスの)収まりはいいですし、強さもアイデアもあるし、クロスにヘディングで合わせる技術も高い。行くところと行かないところの、メリハリを付けて、彼ら(ペレイラとヴィエイラ)を生かしていきたいですね」
東京五輪代表候補のGK大迫敬介と昨年日本代表に選出されたDF荒木隼人を中心にした守備陣の安定感が健在で、中盤には東京五輪代表候補に名を連ねる松本泰志や東俊希も控えている。
さらに前線には、仕掛けが武器のエゼキエウとスピードを備えた万能ストライカーの永井龍が新たに加わった。
守備の整備、世代交代、ポゼッション力の向上……と、たとえるなら、この2年間は土耕し、種を蒔き、水を与え、芽が出る期間だった。
3年目の城福サンフレッチェが、いよいよ“収穫”の時期を迎える。
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